■特長
従来器はサーミスタによって乾燥チャンバー内の環境温度を計測し、加熱・乾燥温度の制御をしていました。サーミスタによる温度計測は長期の実績から安定し確立された方式です。
しかしながら、より高精度な水分測定を要求する場合、環境温度に対する試料温度の追随性の問題や、試料の形状等によってヒーターやサーミスタと試料間の距離を、常に同一にするのは構造的に困難であり、このバラツキが測定精度に悪影響を与えていました。
そこで、本器はサーミスタに加え直接に試料温度を非接触で計測する放射温度計を搭載し、サーミスタを欠点を補完しつつ、試料特性に合せ最適な加熱・乾燥条件を設定することができ、試料を焦がしてしまったり変質させてしまうこともなく、測定時間の短縮と測定精度の向上が図られています。
本器は高度な水分計として位置づけられ、高精度な水分管理に対応します。
■デュアル温度センサー
従来のサーミスタ(T1)による環境温度制御に加え、新たに試料温度を直接測定する放射温度計(T2)を採用し、両
者のメリットを最大限に活用する高度な温度制御を行っています。
●測定時間の短縮
●乾燥初期は水分が多く、表面温度が上がりにくいため、「T2測定」の初期加熱温度は自然と最高温度(180℃)となり、時間短縮を図っています。
このとき、試料に最高温度を付加しても、水分が多い為、焦げる恐れはありません。乾燥の後半になると水分が少なくなり、焦げる恐れがでてきますが、「T2測定」では、それに連鎖させ、急激に加熱温度を下げています。
このように「T2測定」では複雑な温度設定を行わなくても試料の状態に応じて乾燥温度が自動調整されるため、短時間で試料を焦がさない理想的な乾燥が可能となっています。
■多彩な乾燥モードで、様々な水分測定に対応。
●自動停止モード
30秒間の水分変化(変動巾%)が設定値以下になったときに自動停止します。
●時間停止モード
あらかじめ設定した時間(t1)で停止します。
●急速乾燥モード
乾燥初期段階に速乾温度で乾燥させ、水分が減少したら設定温度に戻し、測定時間を短縮させます。
●緩速乾燥モード
表面に膜を作る試料や、高温で分解しやすい試料などを緩やかに乾燥します。
●ステップ乾燥モード
表面付着水や結晶水など多量の水分を含む試料を、段階的に乾燥条件を変え測定することができます。
●予測(比較)測定モード
乾燥の過程から先の変化を予測し測定値(Mp)を求めます。測定時間が短縮されます。
■乾燥の進行状況を観ることができる変動巾表示
●変動巾表示とは
赤外線水分計による加熱乾燥は、(図-2)の"M"にように乾燥初期に多量の水分が蒸発し、後半では水分の蒸発が減少します。これを水分の変化巾として表現したものが”△M”です。この”△M”を変動巾として表示部に表示します。(図-1)この変化を観察することで乾燥過程と乾燥終了の目安をつける事ができます。
■表示部と操作スイッチ
●高度な温度制御
従来のサーミスタによる温度制御(T1)に加え、新たな試料温度を直接測定する放射温度計(T2)を採用し、両者のメリットを最大限に活用する高度な温度制御が可能となりました。
●測定時間が短縮
試料温度を直接測定することにより、試料を効率的に加熱することができ、測定時間を大幅に短縮することが可能となりました。
●高精度な測定
試料温度が測定できるため、試料の特性に合わせた最適な加熱条件の設定ができ、焦げや変質を回避し、より正確な水分測定が可能となります。
●器差の発生が加えられる。
従来のサーミスタによる乾燥温度の制御は、試料とサーミスタの距離などの条件設定が異なってしまい、これが器差となって現れてしまいました。試料温度を直接測定することにより、これらの問題を回避することができます。
●標準乾燥法に最も類似した加熱乾燥・質量測定方式。
水分計測の公定法である「標準乾燥法」にもっとも類似した測定が可能です。
●高精度アルミ一体型質量センサを採用
応答性、温度特性、対衝撃性に優れた信頼性の高い計量ユニット。
●新方式のオートテア機構を採用
天秤のゼロ点校正を自動的に取りながら測定を行うため、長時間の測定でも天秤ドリフトは補正され、高精度な測定が可能。
●熱源に中波長赤外線クォーツヒータを採用
クォーツヒータ(最大エネルギー波長2.6μm)は広範囲の試料の乾燥率に優れ、試料の色による差が出にくく、また試料面温度のオーバーシュートが無い為、、理想的な乾燥が可能。また、クォーツヒータの平均寿命は2~3万時
間で、これは従来の赤外線ランプやハロゲンランプと比較し5~10倍の長寿命。
●さまざまな測定要求に応える6種の測定モードを用意。
自動停止、時間停止、急速乾燥、緩速乾燥、ステップ乾燥、予測(比較)測定の6モードを備え、測定試料の乾燥特性に適した乾燥条件の選択が可能。
●測定条件(乾燥温度・測定モード)を100種、登録保存が可能
測定条件保存エリアを備え、測定条件をこのエリアに登録することによって、測定準備がよりスムーズに行える。
●30秒間の水分変化量(△M)を数値とスケールで表示。
設定条件保存エリアを備え、終了時間の目安がつけやすく、また測定終了条件を決める際に有効。
●オプションプリンタに接続可能。
オプションのプリンタM70Z-330接続し、測定途中の乾燥状態、最終測定値などをグラフ化しプリントアウトすることが可能。
●さまざまな性状の試料が測定できます。
加熱によって水分だけが蒸発し、危険な化学反応を起こさないものなら、ほとんどのものが測定できます。
●いろいろなものが測定出来ます。
■仕様
測定方式 |
乾燥減量法(加熱乾燥・質量測定方式) |
測定対象 |
粉粒体・液体・ペーストなど |
試料質量 |
0.1~120g/任意質量サンプリング方式 |
最小表示桁 |
水分率0.01%/0.1%切り替え、質量0.001g |
測定範囲 |
0~100%(ウエットベース・固形分)、0~500%(ドライベース) |
再現性(標準偏差) |
試料質量5g以上 0.05%(含水率)
※1 試料質量10g以上 0.02%(含水率) |
測定モード |
自動停止モード
時間停止モード(1~240分または連続(最長12時間)
急速乾燥モード(自動停止または時間停止の選択可能)
緩速乾燥モード(自動停止または時間停止の選択可能)
ステップ乾燥モード(5ステップ)
予測(比較)測定モード |
温度設定範囲 |
サーミスタ使用時(T1) :30~180℃(1℃間隔)
放射温度計使用時(T2) :30~250℃(1℃間隔) |
表示方法 |
バックライト付LED(137×43mm) |
外部出力 |
RS-1232Cインターフェース |
通信機能 |
RS-800データロガーソフトによるデータ出力(オプション) |
測定条件保存 |
100種 |
データメモリ |
100データ |
動作温湿度範囲 |
5~40℃、85%RH以下 |
熱源 |
最大625W中波長赤外線クオーツヒータ |
温度センサ |
(T1)サーミスタ、(T2)放射温度計 |
電源 |
AC100~120V/220~240V(50/60Hz) |
消費電力 |
最大640W |
寸法・質量 |
220(W)×415(D)×220(H)mm、5.4kg |
試料皿 |
SUS製(直径130mm、深さ13mm) |
付属品 |
試料皿×2、試料皿ハンドラ×2、試料皿受、風防、電源コード、
スプーン、ヘラセット、予備ヒューズ(8A)×2、アルミシート(10枚入)、
3P-2P変換アダプタ、取扱説明書 |
■オプション(プリンター)