■概要
これまでの分光器では、係数カウントや分光放射照度μWcm-2/nm(単位面積あたりの放射束の量を表す物理量)で表現されていました。
ヒトにとって見やすいかを考慮した照明や太陽光パネル等の発電量を確認するための光源評価には重要ですが、植物育成に必要な光合成活性などを左右する光源の測定・評価を行うための単位としては、十分ではありません。
このたび、弊社が開発しました「分光放射光量子計」は、光量子束密度μmolm-2s-1、つまり単位時間面積あたりにどれだけの光量子(光子)が放射されているかをリアルタイム測定し、任意の波長領域の光量子量を表示することができます。
スペクトルはひとめでわかるよう、カラーバーやスペクトル自体にカラーグラデーション表示が可能で、植物育成にとって重要な光源の評価を光量子量で数値比較できるなど、視覚的にもわかりやすく表現しています。
■特長
●【新設計専用回路基板】測定誤差となる温度依存性、ノイズレベルを大幅に低減。※1 その全てをコントロールする回路基板を新規開発。「出たノイズを抑える」ではなく、「設計レベルからノイズを出さない」という新たな発想に基づき設計された低減技術です。※1. 従来比
●【ソーラシミュレータ測定に最適化した設計】太陽光やソーラシミュレータからの放射波長に合わせて感度特性を最適化。紫外・近赤外でのSN を向上しました。
●【パルス光との同期測定】当社従来機種でのパルス光測定の場合、パルス光入射後のデータしか取得できませんでしたが、本装置では新方式でのパルス光測定モード (イベントトリガモード) を採用しました。
イベントトリガモードは、新設計専用基板回路とソフトウエアの組み合わせにより、パルス光入射前からデータをスキャンしており、任意のタイミングでデータを取り出すことができます。
つまり、パルス光発光後のピンポイントでの 1 点測定ではなく、発光前後のパルス波形の発光推移を広範囲に取得することができます。
測定開始のタイミング信号は、反射型拡散板に取り付けられたホトダイオードが発光信号を検知します。
また、トリガの入力検知レベルは、0 sun ~ 1 sun 相当の強度範囲で任意に設定することが可能です。
● 放射波長に合わせて感度特性を最適化、広い測定波長範囲300 ~ 1,100nm、シリコン系、 色素増感、有機薄膜太陽電池の波長範囲をカバー
●横軸は波長(nm)、縦軸は光量子束密度(μmolm-2s-1) を表示、光量子束密度は、相対値(%)でも表示可能
●任意の波長領域を指定し、その総和を光量子量で個別に表示可能、これにより、光合成の効率や光合成活性等を左右する光源の測定・評価・予測が可能
●表示は、カラーバーだけでなく、スペクトル自体にカラーグラデーションの表示が可能、 お好みにより、RGB 値を変更することでカラー変更も行えます
●スペクトルは、グラフのみをエクセル、ワードなどの別ソフトに貼り付けが可能
●日本電気計器検定所にて制定された分光放射照度標準電球にて校正を行っており、JISC8912 およびJISC8933 による太陽電池計測用ソーラーシュミレータのスペクトル近似度の評価も可能。
非常に高精度高精細な測定器です。
●高精度トレサビリティ体系に基づくバリデーション対応可能品。
■光を光量子量単位で表す
光がどれだけ大きなエネルギーを持っていてもクロロフィルに吸収された光の粒は一つであり、光合成ではその光の粒がクロロフィル内の電荷をひとつ単離させて一連の反応がはじまります。
このため、光合成反応では光をエネルギーとして考えず、光の粒として数える必要があります。
光の粒は、一般的に光量子(光子)と呼ばれており、この光量子をどれだけ吸収するかが光合成反応では、重要です。
このことから光を光量子で考えれば、波長によりエネルギーの違うどの光(赤や青等)でも同じ光合成反応が得られるので、植物の分野では、光の単位を光量子の量で表す光量子束密度を使用します。
本分光放射光量子計では、各波長毎に光量子束密度の測定が可能です。
■光量子量とは…
光量子量を表す単位は、単位時間・単位面積あたりに光の粒がどれくらいあるかを表し、μmolm-2s-1を使用します。このほか、光量子量は、単位時間・単位面積当たりの光の粒の和を表す光量子束密度:PFD と400-700nm の植物が吸収しやすい波長領域の光の数量を表した光合成光量子束密度:PPFD などがあり、ともに単位は、μmolm-2s-1 をよく用います。
■入射光学系はコサイン特性に優れた“ 反射型拡散板” を採用
サイズ : H15×W60×D80 /φ40mm
耐久性に優れており維持管理が容易な材質です。
また、拡散性が高くコサイン特性も優れています。
注) オプチカルファイバ、反射板交換時には再校正が必要です。
■測定モード
① 定常光測定
・・・ 主に連続光を測定するときに使用します。
② 時間繰返測定
・・・ 主に連続光を測定するときに使用します。
一定時間間隔での繰り返し測定を行うことができます。
③ イベントトリガ測定
・・・ パルス光を測定するときに使用します。
トリガ信号の入力により、発光前後の測定を行います。
④ 標準光源測定
・・・ 分光放射照度標準電球を使用し、本器を校正するときに使用します。
■イベントトリガ測定
■分光放射光量子計の機能
●放射照度表示:μWcm-2/nm で、ある光源を測定した事例です。
青、赤ピークの放射量は同量に見えます。
しかし、右の光量子束密度表示では、青ピーク量は赤に比べてかなり低いことがわかります。
●光量子束密度表示:スペクトル自体にカラーグラデーションを表示でき、ビジュアル的にもわかりやすくなっています。
カラーバーと同様に、グラデーションは、お好みによりRGB 値で変更が可能です。
●光量子束密度(絶対値)表示の他、いずれかのピークを100%として、他の波長分布を%(横軸)で表示できる相対値表示があります。
●スペクトルは、別ソフト(エクセルやワード等)に貼り付けが可能です。
論文や資料の作成の際、グラフのみを容易にコピー/ 貼り付けが行えます。
●スペクトルだけでなく、総量としての光量子量を表示後、思い通りの範囲の光量子量を自動計算し、表示できます。1nmの光量子量から表示可能。
●別々の光源から取得した分光スペクトルを重ね書きでき、どの光源が植物育成に向いているかも一目で判断できます。
思い通りの範囲の光量子量も自動計算し、表示します。光源の有効性等も容易に確認できます。
■システムマップ
■標準校正
●分光放射光量子計本体
●反射型拡散板付オプチカルファイバ (L=2.4m)
●トリガケーブル (L=2.4m)
●専用ソフトウエア
●USB ケーブル( L=2.0m)
●AC アダプタ
●検査成績書
■仕様
品番 | M2345S-2440M2N |
測定波長範囲 | 300 ~ 1,100nm |
測定データ間隔 | 1nm |
スリット波長幅 | 5nm |
露光時間 | 1 ~ 1,000msec |
入射光学系 | 反射型拡散板付オプチカルファイバ (L=2.4m) ・ 反射板材質( PTFE、φ40mm) ・ オプチカルファイバ( 石英製、コアφ0.8mm、L=2.4m) |
測定モード | 定常光測定時 : 定常光測定、時間繰り返し測定、 パルス光測定時 : イベントトリガ測定 標準光源測定時 : 標準光測定 |
対応OS | Windows 8 / 7 / Vista (日本語版 32bit、64bit 版)(パソコン別途ご用意願います) |
処理回路 | AD 変換回路 16bit |
インタフェース | USB 2.0 |
データ出力形式 | テキスト( CSV 形式)( データは 1nm 毎に出力) |
データ保存数 | 最大 1000 データ |
使用温湿度範囲 | 10 ~ 35℃、相対湿度 80% 以下 / 結露なきこと |
本体電源 | DC12V 2A |
供給電源 | AC100 ~ 240V 50/60Hz ( 専用アダプタLTE24E-S2-3) |
本体形状 | 190(H)×210(W)×270(D) / 約 5kg |
オプション | 標準光源ユニット、 反射型拡散板固定ユニット ( 上向き照射タイプのソーラシミュレータ用) ファイバ長変更、再校正対応、トレーサビリティ対応書類 |